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   ● 【ライトノベル】吾輩は猫になっちゃった(仮 第21話
   ● 【ライトノベル】吾輩は猫になっちゃった(仮 第20話
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【ライトノベル】吾輩は猫になっちゃった(仮 第22話

<<これまでのお話>>

はじめに


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第21話


<<第22話>>

お皿をペロペロと舐めていると綾さんがこちらの様子を見た。

「サクラちゃんもココアくんも、食べ終わったみたいね。」

「いや、まだ終わってません!」

僕はお皿を舐め続けた。

「じゃぁ、みんなでごちそうさましましょうか。ごちそうさまでした。」

「ごちそうさまでした。」

「ごちそうさまでした。」

綾さんの号令でおばさんもママもごちそうさまと言ったのだが、僕はまだごちそうさまと言いたくなかった。

「まだ食べ足りないのかな?ココアくん。でもね、もう終わり。ほら。片づけるよ。」

と言って綾さんがお皿を取り上げようとする。僕は綾さんの手にしがみついた。

「待ってよ、綾さん!まだ終わってないって!」

このお皿が片付いたら作戦が始まるのだ。まだ心の準備ができてない。僕は綾さんの手に噛みついた。しかし歯が生え始めたばかりの僕の噛みつきは綾さんには全然効いていなかった。

「うふふ。ココアくん、そんなに美味しかった?」

僕はお皿を取り上げられまいと必死に抵抗した。するとその時

「坊や!…やめなさい。」

ママがはじめて聞く大きな声で言ったので、驚いて振り返る。ママは目に涙を浮かべながら僕の方を見つめていた。

 

 こんな泣きながら怒る顔はどこかで見たような気がした。

そうだ。母ちゃんだ。一度だけ僕に泣きながら怒ったことがある。それは親父が亡くなって火葬場で親父の棺が炉に送り込まれる寸前。

「やめてくれよ!お父さんを焼かないで!」

と棺にしがみついて抵抗する僕を泣きながら一喝したのだ。

 その時の母ちゃんの顔にそっくりだった。

 

「ママ…。」

ママも悲しいのを我慢しているのだ。それを悟って僕は綾さんの手から離れた。

そしてフーっと息を吐いてから言った。

「ごちそうさまでした。」

ママが目に涙を浮かべながら微笑み、僕の顔を暖かい舌でやさしく舐めてくれた。

 

「さ、片づけも終わり!二人ともこっちにおいで。」

食器を片付け終わった綾さんが足湯のベンチで僕らを誘うように膝を叩いた。

 

その時、足湯の向かい側に僕とよく似た白黒模様の親猫1匹と僕と同じくらいの子猫が2匹現れ、5メートルほど先で止まった。

「サクラさん、来たわよ。」

「ミミさん、ありがとう。恩に着るわ。」

「いいのよ。おじいさんとおばあさんには私も色々お世話になったからね。」

ママはその親猫と言葉をいくつか交わすと僕の方を向いて

「さぁ、坊や、行きなさい。」

と僕をその親猫の方へ行くようにゆっくりと鼻で指した。

「うん…。」

僕はゆっくりとした足取りでその猫たちの輪の中に入った。

「あなたがココアくんね。よろしく。」

「おにーちゃんよろしく。」

「あとで遊ぼうね!」

母猫は僕の顔を舐め、子猫たちは僕に懐っこく絡んできた。

「もしかしてココアくんのお母さんと兄弟!?」

「そうなのかい!そっくりねぇ!」

綾さんとおばさんがその様子を見て頷く。

「迎えに来たのね。」

「良かったねぇ。お母さんたちに会えて。」

いや、違うんだよ。僕を産んで育ててくれたのはママなんだ。そう綾さんたちに言いたかった。

「坊や、がんばりなさい。応援してるわ。」
ママは笑顔でそう言って僕を勇気づけてくれた。 

「ママ。ありがとう。産んでくれて。育ててくれて。絶対また会いにくるから。」

「うん。待ってるわ。」

「ママ。元気でね!それと、綾さん、おばさん。ありがとう!」

それぞれの顔を見てそう言うと

「あいさつは済んだ?それじゃぁ行きましょうか。」

と親猫のミミさんに誘われて僕らは森へと歩き出した。

「坊や!振り返らずに行きなさい!あなたなら必ずできるわ!」

「ココアくーん!またね!元気でね!」

ママと綾さんの声が背後から聞こえる。振り返りたかったが、振り返ったら心が負けてしまいそうな気がして僕は涙を堪えてそのまま歩き続けた。

 

 森の中に入り、綾さんたちの視界には入らないであろうところからママや綾さんたちの様子を見ていた。綾さんはママと何やら話をしながら、ママをしばらく撫でていたが、やがて足湯から足を出してタオルで拭うと、荷物を抱えておばさんと軽トラックへ歩いていく。ママもそれにソロソロと付いていくと、綾さんの後ろからスルリと助手席に飛び乗った。

 後ろの窓から綾さんとおばさんが顔を見合わせて言葉を交わしているのが見える。ママを連れて行くのかどうか相談しているのだろう。

 そしてしばらくすると、エンジンがかかり、綾さんが助手席のドアを閉めると軽トラックはママを乗せたままゆっくりと走り出した。

「良かった…。ママ…。元気でね。」

軽トラックが見えなくなるまで僕は見送った。

 

 

 昨日の晩、僕とママはこれからのこと、そして作戦について押入れの中で話し合っていた。

「あなたはやっぱり1人で行きなさい。」

「え?なんで?一緒に行こうよ。」

「あなたはとても小さいし、守ってあげたいけれど、あなたには知恵も勇気もあるわ。それに、私は猫としてはもうおばあさんだからこの先あなたの足を引っ張ってしまうかもしれない。」

「そんなことないよ!」

「ううん。私も衰えてきたのは自分でもわかってるから。この前の検査もね、あまり良くなかったみたいだし。」

「嘘だよ!そんなの!綾さんは問題ないって言ってたじゃん!」

「いいから。聞いて。これはあなたの試練なの。あなたが自分の力でやり抜いてこそ神様も認めてくれるんじゃないかしら。」

「それは…そうかもしれないけど…。じゃあママはどうするの?ここにいると綾さんに負担になるし、ばあちゃんはもう帰ってこないんだよ?」

「分かってる。だから私は綾さんのお母さんのところに行くわ。」

「おばさんのところに?」

「綾さんのお母さんね、きっと猫を飼ってるの。」

「そんなこと、なんでわかるの?」

「服に猫の毛が付いていたし、それにあの撫でてくれるときの手つきは猫が好きな人間のものよ。」

「そうなんだ…。」

「そうよ。」

「でも、僕がいなくなると綾さん心配するよね。」

「それはね。良いアイディアを思いついたの。」

「良いアイディア?」

「そう。あなたのようなハチワレ模様の猫でね。ミミさんっていう猫がこの先の大きな人間の巣に住んでるの。ミミさんにはちょうどあなたと同じくらいの子供たちもいてね。綾さんに、ミミさんがあなたの本当のお母さんだと思わせるのよ。」

「なるほど…。」

ママや綾さん、おばさんと離れるのは辛かったが、猫神様との約束を考えると前に進むしかない。僕には苦渋の決断だったが、そうするしかないのかもしれない。

「そうと決まれば、私はミミさんにお願いしに行ってくるわ。」

「うん…。」

 

 

 こうして、作戦は無事に成功し、僕はママと綾さんと別れた。

「これも1つの試練だったのかな。」

そう思うと自分が少しだけ大きくなったような気がした。

 

そして僕の新しい試練が始まる。



次話⇒<第23話


※本作品は小説投稿サイト「小説家になろう」に同時投稿しています。
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【ライトノベル】吾輩は猫になっちゃった(仮 第21話

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<<第21話>>



 その晩も翌
朝翌晩も、おばさんがごはんを作って持ってきてくれた。

「今日も大事をとってピンチヒッターお母さん。」

なんだそうだ。

しかし、別れ際におばさんが

「今日から綾もお休みでうちに泊まることになってるし、明日の朝は綾と一緒に来るわね。」

と言ったことで、早くも僕らの作戦の決行が決まった。

 

 翌朝。いつもママに起こされるのだが、その日はなかなか寝付けずママよりも早く起きていた。いてもたってもいられなかったからだ。そして早起きした分、尿意も早くやってくる。

「うぅー。トイレ行きてぇ…。」

チラリとママを見るが、ママはまだ寝ている。ママを起こして下に降ろしてもらうか悩んだが、これから先のことを考えると、ママに頼ってばかりもいられない。押入れの2段目から自分で降りたことはなかったが、なんとか1人で降りてみることにした。

 

 下を覗きこむと子猫視点ではやはり結構高い。

「どうやって降りようかな…。ここはやっぱり、猫らしく頭から…。いや、それは怖いだろー。まだ手も短いし絶対あごとかぶつけそうだよなぁ。やっぱお尻からかな…。こうやって。」

と降りるイメージをしながらああでもないこうでもないとウロウロしていた時だ。僕は不意に後ろ足を踏み外してしまう。

「あぶねっ!」

 瞬間的に両手で目の前にあるタオルケットを掴む。

 
 猫の手というのは人間のそれとは違って、関節が少ないし、しかも親指がない。いや、まぁあるって言えばあるんだけれどまったくと言って良いほど機能しない親指の跡みたいのしかない。そんなものだから人間や猿のように物をギュっと掴むのが難しいのだ。だが、その代わりに物を掴むように指に力を入れようとすると、爪が飛び出すのだ。
「おぉ!すげ!ナイス爪!」 
爪がタオルケットにガッシリと食い込み、僕はタオルケットにぶら下がった状態になる。 

「ふー。危なかったー。…って降りようとしてたんじゃないのか。ふはははは。」

と安堵したのも束の間。タオルケットが僕の重みで落下し始める。

「マジかーぁぁぁぁ!」

 

 こういう事故的な瞬間というのは一瞬の出来事なのに僕には何故か時間がゆっくりになって、スローモーションに映る。この瞬間に人は走馬燈というのを見るのだろう。僕の場合はただ、まわりの景色がスローモーションになるだけだけれど。僕が自転車でコケてトラックに轢かれたときもそうだったし、湖でおぼれたときもそうだった。そして今も。

 

 周りの景色がゆっくりと上に向かって流れていく。つまり僕は落下しているのだ。創ちゃん絶対絶命。

「これ…。また死ぬのか…。」

と思った次の瞬間、僕は尻餅をついた。

「痛っ!くない…。それほど。」

実際は一瞬スルッと落下しかけたものの、タオルケットと共にゆっくりズルズルと下に降りただけ。だったようだ。

「あーびっくりした。なんだなんだ。そうかそうか。うんうん。なるほどなるほど。」

誰も見ていないだろうけれど、死を覚悟した自分に少し恥ずかしくて照れ隠しをする。

 

 こうして畳の床に無事着地した僕は、次の難関である階段を一段一段なんとか下り、キャットスルーをくぐり抜け、トイレをマッハで済ませた。野犬やいつ冬眠から覚めるかもわからない熊が怖かったからだ。急いで旅館の中に戻ると、あの玄関のコルクボードの写真や寄せ書きを眺めていた。じいちゃんやばあちゃんやママの写真を見ていると、こみ上げてくるものがあったが、ぐっと堪えた。それにじいちゃんもばあちゃんも天国で応援してくれているに違いない。

「見守っててね、じいちゃん、ばあちゃん、親父。」

 

 部屋に戻ろうと踵を返すとママがすぐ隣にいたのでびっくりする。

「うわぁ!…いたの、ママ。」 

「坊や一人でできたのね。」

「うん。いつまでも甘えてられないし。」

「そうね。でも、もっと甘えて欲しいのだけれどね…。」

ママは少し寂しそうな顔をしたように見えた。

そして二人で並んでコルクボードの写真を眺めていた。

しばらくすると外から声が聞こえる。

 

「サクラちゃーん、ココアくーん。ごはんだよー。」

「サクラー、ココアー。」

綾さんとおばさんの声だ。

「綾さんたち来たみたい。さぁ。行きましょうか。」

ちょっと名残り惜しかったが、ママの先導で足湯に向かう。


 足湯のところでは、綾さんとおばさんが食事の準備をしていた。

「おはようございます。」

「おはよう。綾さん、おばさん。」

二人のもとへ小走りで向かった。

綾さんは普段どおり、ニコニコしている。

「綾さん大丈夫?」

「大丈夫ですか?綾さん。迷惑かけてごめんなさい。」

ママは綾さんの足にまとわりついて頭をこすりつけた。

僕も真似して頭をこすりつけてみる。

「二人ともごめんねー。もう大丈夫だからね。さぁ、今日はスペシャルメニューだよ!」

綾さんがタッパーからごはんを取り分け、おばさんは綾さんと自分のおにぎりを用意してから、魔法瓶からお茶を湯呑に注いだ。

 

 それぞれの準備が整うと、綾さんとおばさんは足湯に足を浸した。そして綾さんの号令。

「それじゃ、いただきます。」

「いただきます。」

「いただきます。」

「いただきます。」

綾さんとおばさんは合掌してからおにぎりを食べ始めた。僕らのごはんは鮭と野菜の蒸し煮のようなものだった。とてもおいしそうだ。しかし、僕もママも食べはじめなかった。しばらくボーっとお皿を眺めていると

「どうしたの?これ、嫌いかしら…。」

綾さんが少し心配そうな顔をしてこちらを見てくる。それを見てママが

「坊や、いただきましょう。綾さんが作ってくれたごはんよ。」

「うん。今日はゆっくり味わって食べるよ。」

ようやく僕たちは食べ始めた。

「どう?おいしい?嫌い?」

綾さんが聞いてくる。

「おいしいです。」

「おいしいよ、綾さん。おいしい…。」

味は多分本当に美味しかったんだろう。けれど僕にはごはんの味はほとんどしなかったし、いつものようにしっかりとミキサーで細かくしてあるのだけれどいつもよりも飲み込み辛さを感じていた。普段ならばごはんとなればガツガツと一瞬で食べてしまうのに、一口一口噛みしめるようにゆっくりと時間をかけてごはんを食べた。

 そして食べ終わるといつもよりも多く何度も何度もお皿を舐めた。

「ごちそうさまでした。」

この言葉を少しでも先延ばしするように。

しかし時と言うのは無情なもので。その時はやってくる。



次話⇒<第22話



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【ライトノベル】吾輩は猫になっちゃった(仮 第20話

<<これまでのお話>>

はじめに


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<<第20話>>



 僕たちはおばさんが白い軽トラックに乗って帰って行くところを見送ると、トイレ経由で押入れに戻り、食後のグルーミングをした。

 

 何から話せば良いのだろう。

 

 グルーミングをしながら何から話すべきか、どう説明すべきかずっと考えていた。しかしあまり考えていると、食後だしすぐに眠くなってしまう。とにかく早く話さなければ。

 

「ママ。」

「何?坊や。」

「あのね、お話しがあるんだけど。」

「何かしら。お話しって。」

「驚かないで聞いてほしいんだけど…。」

ふー。と一旦深呼吸してから僕はママの目をまっすぐに見て話し始めた。

「ずっと話すかどうか迷ってたんだ。…実はね。僕、人間の生まれ変わりなんだ。」

「え?人間?」

ママは首を一瞬かしげる。

「僕はね、ママに産んでもらう前、人間だったんだよ。」

「そうなの…。」

もっと驚くかと思っていたけれど、ママがそれほど驚かなかったことに逆に驚く。

「あれ?びっくりしないの?」

「いいえ、ちょっとびっくりはしたけれど、なるほどね。と思ったのよ。」

「なるほどね…?」

「そう。私もいつか話さなきゃと思っていたのだけれど…。実はね、坊やを生む前の日。ふと目が覚めると目の前に神様がいたの。」

「神様…?」

「真っ白くて大きな猫の神様がね『サクラ。お前に使命を与える。』って言うのよ。」

「猫神様だ…。」

猫神様の顔が一瞬脳裏をよぎった。

「使命って何ですか?って聞き返すと、そのままぼんやり消えてしまったの。そして次の日、急にお腹が痛くなってこのまま私は死んでしまうのかしら。と思ったら坊やが生まれたのよ。」

「えええええええ!!」

僕の方がびっくりした。綾さんがママは不妊手術をしているので、僕はママの子じゃないと言ってから、僕を産んだのは別の猫かもしれないと思っていたからだ。しかしママは不妊の体で聖母マリアのごとく神の啓示とともに受胎し、翌日僕を出産したというわけだ。だから僕には父猫がいないし兄弟もいない。今までのモヤモヤが一瞬で晴れた。

「坊やは赤ちゃんなのにすぐにしゃべれるようになったし、頭は良いし、色々知っていたから。あなたは神様から授かった神の子だと思ってたのよ。」

「そうだったんだ…。」

「ごめんなさい。遮っちゃって。お話しの続きを聞かせて。」

「うん…。」

 

 僕はもう一度深呼吸をして話し始めた。

「僕はね、青山創太っていう人間の高校生だったんだ。」

「あおやまそうた…。」

「ここの、緑雲荘のじいちゃんとばあちゃんの孫なんだよ。」

「孫?」

ママは今度は本当に驚いたようで、その大きな目をより大きく見開いた。

「僕は、ここに人間のときに何度か来たことがあるんだ。ママとはほとんど会わなかったけれど。」

「おじいさん、おばあさんの孫…。」

「そう。男の子だよ。覚えてる?」

ママは目をつむって一生懸命思い出そうとしているようだ。

「親父がね、猫が大嫌いだったから、ママはいつも僕らのことを避けていたように思う。」

「ああ!思い出したわ!怖かったから近づかないようにして、遠くから見ていたわ。あの男の子が坊やなの…。」

「うん…。」

 

 そして僕は普通の男子高校生だったこと、自転車で転んでトラックに轢かれてしまったこと、三途の川に行ったこと、猫神様とのやりとりをママに話した。

「そうだったの…。私はあなたを生む使命、そしてあなたは猫として生きる試練を神様に授かったのね。」

「そうなんだ。」

「でね、大事な話がまだ2つあるんだ。」

「大事な話?」

「そう。大事な話。どうしてもママに話さなくちゃいけないんだ。」

一呼吸置いてからゆっくりと話しはじめた。

「まずひとつ目だけど。…ばあちゃんはもう亡くなっているんだよ。」

「えっ!?」

とママは口を半開きのまま絶句してしまった。

「ばあちゃんはね、去年の夏に運ばれた病院で亡くなったんだ。」

「うそ!だってお葬式だってしてないし!」

ママは少し興奮した感じで言い返してきた。先ほどまでとは打って変わって信じられないという顔をしている。

 

 それもそのはずだ。じいちゃんが亡くなった時は緑雲荘で葬儀をしたし、ママがじいちゃんの亡骸に悲しそうに寄り添っていたのを何度か見ている。しかし、ばあちゃんが亡くなった時、同じく緑雲荘で葬儀をしたのだがママの姿はどこにもなかった。当時はサクラは世話をしてくれる人がいなくなったので、もうどこかに行ってしまったのだろうと話していたのだが、この前綾さんの家にいる時、その理由に気が付いたのだ。

「ママがね、知らない人に何か食べ物をもらって、食中毒になって病院に行って、病院と綾さんのおうちに何日かいたでしょ?多分その時に、ばあちゃんのお葬式をしたんだよ。だからママが帰ってきたときにはもう、ばあちゃんはいなかった。もう、ばあちゃんはいくら待っても帰って来ないんだ。」

「…そうだったのね…。おばあさん…。ごめんなさい。」

ママの目からは涙が溢れてきた。ママはその涙を切るように強く瞼を閉じて、布団に顔を擦りつけるようにしてすすり泣いた。

「ママ…。」

なぐさめるようにママの顔をしばらく舐めていた。

 

 少しするとママは顔を上げた。

「ごめんなさい…。もしかしたら、そうなのかもしれないと思っていたのだけれど、信じたくなかったし、おばあさんを待つことが私の生き甲斐みたいになっていたから。」

「わかるよ…。」

「…いいわ。続きを聞かせて。」

「もう1つね。僕はね、東京までどうしても帰らないといけないんだ。」

「とうきょう?」

「うん。東京。そこに母ちゃんがいるんだよ。」

「人間のお母さんね?」

「そう。人間の。」

「そこは遠いのかしら。」

「うん。めちゃくちゃ遠いよ。」

「会いたいのね、お母さんに。」

「うん。会いたい。会いたいし心配なんだ。それにきっと東京へ行くのが僕の試練なんだと思う。」

「そう…。わかったわ。私が力になるわ。」

そう言うとママは僕を抱きしめた。

「ありがとう。ママ。」

 僕はママに抱きしめられたまま眠りに落ちていった。

 

 目覚めると、二人で交互に僕が人間だった時のことや、じいちゃんばあちゃんのことなどをいっぱい話した。じいちゃんやばあちゃんの話は懐かしくもあり、少し悲しくもあった。僕が全く知らないじいちゃんとばあちゃんのエピソードがいっぱいあったし、二人がママのことをまるで我が子のように愛し、可愛がっていたことが本当によくわかったからだ。

 

 それから、僕らはこれからどうするべきか話し合った。ママはばあちゃんが帰って来ないとわかった今となっては、緑雲荘が名残惜しくはあるけれど、ばあちゃんを待つ必然性が無くなったので、いつ旅立っても良いということだった。

 

しかし課題がいくつか出てきた。

 

 まず第1の課題。それは毎日僕らの面倒を見て倒れてしまった綾さんに負担にならないようにする。ということ。
 第2の課題は、綾さんに心配をかけずにいかにして綾さんのもとから旅立つかということ。きっと綾さんはいきなりいなくなったら心配して僕らを探すに違いない。

 そして最大の課題は、どうやって東京まで行くのか。ということだった。

 

 しかし、一人で思い悩んでいるよりも二人で考える方がやはり良いアイディアというのは出るもんで。二人よればもんじゅの知恵!ん?

 

 こうして僕らはある作戦を思いつき、実行に移すことになる。



次話⇒<第21話


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【爆笑】厳選!猫パンチGIF特集(猫GIF動画5枚)

猫ちゃんの必殺技。猫パンチ。

その猫パンチに磨きをかけるべく特訓する猫ちゃんも?

今日はそんな猫ちゃんたちの猫パンチ動画(GIF)を集めてみました。

(スマホなどの場合は画像をタップしてご覧ください)


こちらの猫ちゃんはトレーニング中ですか?
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ゴミ箱から出た筒がもうパンチングボールのようにしか見えませんwww


そしてこちらの猫ちゃんはゴミ箱の蓋で。。。
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リズム感が大事!!

いいですね、ごみ箱トレーニングwww 


そしてこちらの猫ちゃんはシャドー中。。。
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右ニャ!左ニャ!! そしてフックニャーーー!!!


こちらの猫ちゃんはトラのぬいぐるみで。。。
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右も左もうまいこと使い分けるんですなぁ!!


こうして鍛えられた猫パンチの究極奥義がついに炸裂!!
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ニャン斗百裂拳!!

あたたたたたたたたたたたたたた!!!!!

あなたはケンシロウですか。。。

もはや勝てる気がしませんwww

【ライトノベル】吾輩は猫になっちゃった(仮 第19話

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<<第19話>>


 僕とママは綾さんと動物病院で一日過ごした後、登別温泉の緑雲荘まで綾さんに浜省のかかる車で送ってもらい、足湯でみんなで夕食を食べた。辺りはすでに真っ暗になっていた。

 綾さんは昨日のレポートや僕らのごはんの準備でほとんど眠っていないのか、ものすごく眠そうだったし、肩も凝っているのか、夕食の最中に何度か目を閉じたり肩に手をやって首をグルグル回したりしていた。

ママはそんな綾さんに気づいたらしく、食事が終わるといつもは綾さんの膝の上に乗るのだが、今日は綾さんの後ろのベンチの背もたれにジャンプすると綾さんの肩を揉み始めた。

「綾さん、いつもありがとう。お疲れ様。」

「サクラちゃん、マッサージ上手ね。気持ちいい。」

「こう見えても緑雲荘の看板猫ですからね。」

綾さんは気持ちよさそうな顔をして微笑んでいる。

 

 僕もママと同じように肩をマッサージしたかったのだが、ベンチの背もたれまでジャンプできそうにないし、背もたれに飛び乗っても綾さんの肩に届きそうにないので、ママの見よう見真似で綾さんの足を揉んでみる。右手と左手を交互に突っ張る感じで綾さんの左腿をグイグイ押していく。

「ココアくんもマッサージしてくれるの?あはは。」

綾さんはママの真似をする僕のマッサージが面白かったのかケラケラと笑っていたが

「じゃぁ二人のマッサージ師にちゃんとマッサージしてもらおうかしら。」

と足湯から足を出してベンチにうつぶせになった。

 

 ママは肩担当、僕は腰担当ということで、二人で綾さんのマッサージをする。手だけでは効率が悪いので、足も使って綾さんの上で足踏みをしてみた。

「はぁー。気持ちいい。二人にマッサージしてもらうなんて、贅沢ね!私寝ちゃいそうだよ。」

そう言ったのも束の間、綾さんは本当に眠ってしまった。

 スースーと寝息を立てる綾さんをマッサージしながら、綾さんの日常をずっと考えていた。綾さんは今日、朝の6時にはすでにごはんを作り終えていた。ということは、6時前には起きているのか、はたまた全く寝ていないということになる。それから一緒に食事をして、動物病院に行き、綾さんは一日中走り回っていた。そして今はもう夜。これから綾さんは札幌まで帰ってまた勉強をしてから寝るのだろうか。綾さんはいったい何時に寝ているのだろう。

 そんなことを考えながらマッサージをしていた。僕は綾さんの腰から足にかけて足踏みしながらマッサージをしていると、デニムをまくった素足がめちゃくちゃ冷えいることに気付く。

「ママ、そろそろ綾さん起こさないと体が冷えちゃうよ。」

「大変!そうね、起こしましょうか。」

僕らはマッサージしていて動いていたので寒さを感じなかったのだが、寝ている綾さんの足先は足湯で濡れていたこともあり、完全に冷えきっていた。

 

僕は綾さんの頭の上まで歩いていき

「綾さん起きて。起きないと風邪ひいちゃうよ!」

と言うが綾さんは起きない。そこで今度はママの番だ。

「綾さん、風邪ひきますよ。起きてください。」

ママが綾さんの顔を舐めて起こそうとするも全く起きない。

最後は実力行使しかない。ママは今度は綾さんの鼻を軽く噛んだ。

「いたっ。んんんん…。寝ちゃった。」

ようやく綾さんが目を覚ます。

「うぅ。寒っ!」

綾さんが上体をムクッと起こしたので、僕は綾さんの頭から落ちそうになったがなんとかしがみつく。

 僕を頭に載せたまま綾さんはゆっくり起き上がり、再び足湯に足を浸した。

「気持ち良すぎて眠っちゃったよー。」

「大丈夫?綾さん。疲れてるんじゃない?」

そう言うと、ようやく頭の上の僕に気付いたのか、両手で僕を膝の上に降ろした。

ママも膝の上に乗ると

「綾さん、私たちの世話で大変ですよね…。ごめんなさい。」

と頭を下げた。ママは綾さんに助けてもらった後ろめたさも感じているのか、申し訳なさそうな顔をしている。

「私は大丈夫よ。タフだから!」

ニッコリと笑う綾さんの目にはどことなく疲れが見えた。

 

 翌朝、ママに起こされる。

「坊や、起きて。誰かが呼んでる。」

「え…。誰?」

寝ぼけているとママに咥えられてキャットスルーまで運ばれる。僕はいつものように冷たい土間で目がシャッキリとする。

外から

「サクラー。ココアー。」

と呼ぶ声がする。女性の声だが綾さんのものではないのは確かだ。

「僕の名前知ってる人って綾さんと病院の人だけだよね。」

「とにかく行ってみましょう。」

ママとキャットスルーをくぐって外に出る。声は足湯の方から聞こえてきた。

「サクラー。ココアー。ごはんだよー。サクラー。ココアー。」

足湯のところに青いつなぎを着て、母ちゃんと同じ白いゴム長を履いた中年のおばさんが立っていた。遠巻きで少し観察してみる。

「悪い人ではなさそうね。行ってみましょう。」

ママの後ろについていく。

「あー。来たのねー。あなたがサクラであなたがココアねー。おはよー。ごはんだよー。」

「あなたは誰ですか?」

「はい、ごはん。」

おばさんは僕の問いかけに答えず、タッパーを二つ開けて、ペットボトルからお皿に水を注ぐと僕とママに差し出した。

「え?綾さんは?」

ごはんよりもそれが気になる。 

「どうしたの?たべないの?これ綾のレシピだから美味しいわよ。」

「坊や、とにかくいただきましょう。大丈夫だから。」

いつもは綾さんと一緒に3人でごはんを食べるのだが、おばさんは何かを一緒に食べる気配が無いので、僕とママでいただきますをしてごはんを食べ始めた。なるほど、綾さんのごはんと同じ味がする。僕たちが食べ始めたのを見て、おばさんは白いゴム長と厚手の長い靴下を脱ぐと足湯に足を浸した。

「これが綾の言ってた足湯ね。はぁー。生き返るわー。」

と天を仰ぎながらフー。とため息をついた。そしてこちらを見てニッコリとほほ笑んだ。

綾さんのことを綾と呼ぶ。そして綾さんから僕らのごはんのレシピを伝授されている。さらにつなぎに長靴。これは酪農とかしてる人っぽい。

 

「このおばさん、もしかして綾さんのお母さん!?」

 

 僕の勘は当たっていた。

ごはんをキレイに食べ終わると、おばさんに

「ありがとう。美味しかったです!」

と言ってママと膝に乗った。するとおばさんが優しく撫でてくれる。

「サクラ、ココア。美味しかった?」

「はい。美味しかったです。ありがとうございます。」

頭を下げると、おばさんが語り始めた。

「私はね、綾のお母さんよ。綾がね、昨晩倒れちゃって。今日はピンチヒッター、お母さん。」

「えええええええええええええ!!!」

「あの子、こんなところまで毎日通ってたのね。」

「綾さん大丈夫なんですか?」

「綾はね、今日は1日入院するから、私にお世話お願いって。いつもあんまり自分から連絡してこないくせに、都合のいい子よねー。」

とおばさんが笑う。

「本当は保護したいのだけれど、サクラちゃんは緑雲荘じゃないとダメだから。ってね。毎日学校とここを行ったり来たりしてたみたいね。」

「ごめんなさい。私のせいで…。」

ママが昨日に続いて申し訳なさそうな顔をして頭を下げた。

「いつまでもこの生活だと綾ももたないわ。早く良い飼主さんが見つかるといいのだけれど。」

「おばあさんが帰ってきたら、もう大丈夫ですから。ご迷惑はおかけしませんから。」

ママがおばさんに言う。

 

 この言葉を聞いて僕はものすごく葛藤する。ママに真実を言うべきか言わぬべきか。その真実とは、ばあちゃんの事であるが、それを説明すると僕自身の事を話すことにもなる。果たして真実を言ってしまっても大丈夫だろうか。ママはきっと驚くし、悲しむに違いない。しかし僕に残された時間はあと329日。いつものように逃げて何事も先延ばしにしては前に進めないし、誰も幸福にはならないだろう。

 そして僕はママに真実を話す決心をする。


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※本作品は小説投稿サイト「小説家になろう」に同時投稿しています。
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