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   ● 【ライトノベル】吾輩は猫になっちゃった(仮 第8話
   ● 【ライトノベル】吾輩は猫になっちゃった(仮 第7話
   ● 【ライトノベル】吾輩は猫になっちゃった(仮 第6話
   ● 【ライトノベル】吾輩は猫になっちゃった(仮 第5話
   ● 【ライトノベル】吾輩は猫になっちゃった(仮 第4話


【ライトノベル】吾輩は猫になっちゃった(仮 第8話

<<これまでのお話>>

はじめに


第1話><第2話><第3話><第4話><第5話

第6話><第7話



<<第8話>>


うっすらと瞼が開く。

まだ若干霞んでいるものの、ようやく視界が開けた。

「お目目が開いたかしら、坊や。見える?私がママよ。」

なんどか瞬きしていると、瞼を舐められる。

すると、さきほどよりも瞼が開き、鮮明に見えるようになってくる。

 

そこには大きな猫がいた。

「ママ…。」

思わず口に出してしまった。

そうか…。僕は猫に生まれ変わったんだ…。

目の前にいたのは、茶色と黒のトラ模様に白い部分が混ざった猫だった。後で知ることになるのだが、この模様はキジ白と言うらしい。グリーンの瞳が宝石のようにキラキラしていて、優しくて、とても愛情に満ちている。

「そうよ。私があなたのママよ。」

と言って顔を舐めてくるので目を閉じてされるがままにしていた。

 

そのとき、僕は同時に人間として生まれてきた時のことを想像していた。母ちゃんが命を賭して帝王切開し、未熟児として産まれ、保育器に入れられていた僕の目がようやく開いたときの母ちゃんと親父、二人の笑顔が目に浮かんだ。二人とも「ママよ!」「パパだよ!」と言って手を振っている。二人もこうして僕を祝福してくれたのだろうか?

「私のかわいい坊や。」

と言って、抱きしめられ、体をやさしく舐められる。

「産んでくれてありがとう。ママ…。」
そして産んでくれてありがとう。母ちゃん。 

その暖かく、優しく、愛に満ちた眼差しをしばらく眺めていた。

「私の坊や。」

今までの恐怖や不安は何だったのだろう。

ママがいれば自分が猫であってもかまわない。そう思えた。

「ママ。」

僕はなんだか嬉しくて、ママのあたたかい懐に飛び込んだ。

この幸せな空気に包まれていたくて、せっかく目が開いたにも関わらず、僕は再び目を閉じて幸せを噛みしめながら、ママの胸の中で眠った。

 

夢を見た。人間の時の夢だ。赤ちゃんの僕は、母ちゃんのことをママと呼んで、胸元に抱きついて甘えている。やがて僕は大きくなり、周りの人間に影響されはじめる。小学校のときに、友達の家に遊びに行くと、友達がママではなく「お母さん」と呼んでいるのを見て感化され、ママはいつしか「お母さん」になる。中学2年くらいのちょっとした反抗期に、お母さんは今度「母ちゃん」になっていた。時には「ババア」と呼んだことも。それでも母ちゃんは赤ちゃんの時からずっと変わらずに僕のことを「創ちゃん」と呼んでいた。

 

多分泣いていたのだろう。

「どうしたの?坊や、怖い夢でも見たの?」

と言って、ママが心配そうに顔を舐めて

「大丈夫よ。ママがいるから。」

と抱きしめてくれる。

「うん。ありがとう。ママ。」

と感謝するも、母ちゃんのことが心配だった。

母ちゃんにもこうして抱きしめられたい。そう思った。母ちゃんは今頃どうしているのだろうか…。

親父を亡くし、女手一つで僕を育ててくれた母ちゃん。母ちゃんに会いたい。しかし今の僕は猫。ろくに歩くこともままならない、産まれたばかりの子猫だ。


そうだ。早く大きくなってママと一緒に家に帰ろう。うちは魚屋だし、猫嫌いな家系だけど、きっといつか家族として迎えてくれるときが来る。そして3人?って言うか2匹と一人?で仲良く暮らそう。そう決心した。
 

しかしその前にできるだけの事をしておきたい。家に帰るための作戦を立てておこう。作戦の重要性をヤマジョとのカラオケで身をもって学んだ僕は、現在の戦況について把握してみることにした。

 

まず僕は今どのような状況なのか。

自分の体を見てみる。普段見る野良猫とは違い、相当幼い感じだ。ママと比べてみても手足は小さく、細く、短く、まだまだ猫の風格すらない。それとちょっと驚いたのは、僕はママと同じ、キジ白模様と思っていたのだが、その想像が全く違っていたことだ。

体は真っ黒く、手先と足先、お腹、そしてしっぽの先が白い。鏡が無いので、自分の顔は見れなかったのだが、そんな模様だった。

「ママと同じじゃないんだ…。」

てっきりママと同じ模様なのだと思い込んでいたので、それにはびっくりした。

「猫って模様は遺伝はしないのかなぁ…。」

それと、目が開かない時からすでに感じていたのだが、改めて確認したのは、猫や犬と言うのは4、5匹子供を産むような子だくさんなイメージだったのだが、子猫は僕一人しかいないということだった。

「やっぱ兄弟はいないのね…。」

一人っ子の僕は、兄弟に憧れのようなものがあったのだが、猫になってもやっぱり一人っ子だった。

 

そして今ここがどこなのか?

薄暗いがこの匂い、この布の感触…。どうやら布団の上だった。そして少し先に隙間が見えた。そこからかすかに光が差している。

「ここは…。もしかして押入れか何かか?」

その予想は当たっていた。ママが寝ている間に、暖かい懐を抜け出して、まだあまり力が入らず自由の利かない四肢でその隙間まで歩いて行って外を覗いてみると、ここが押入れの2段目ということがわかった。その先には照明の点いていない、薄暗いがらんとした和室があった。

つまり僕とママがいるのは、和室の押入れ2段目の布団の上。ということだ。

 

しかし生まれて何日経ったのか自分でもわからないのだが、今までママ以外には、他の生き物の気配どころか人間の気配は全く無かった。

「ここはもう人の住んでいない廃墟か何かなのかなぁ…。」

しかし、それ以上はもうわからなかった。

なにせ産まれたての子猫の僕にとって押入れの2段目と言うのは相当な高さがあったからだ。その高さは校舎の屋上から地面よりも全然高い感じがしたので、床までジャンプして散策してみる。というのはまさに自殺行為。いくら猫とはいえ、この高さから落ちたら痛いだろうな…。

 

結局、これ以上僕が自力で出来ることはなかった。

明日もっと明るくなったらママに直接聞いてみるか、下におろしてもらおう。そう決めると、僕はママのあたたかい懐に潜り込んで眠った。



次話⇒<第9話




※本作品は小説投稿サイト「小説家になろう」に同時投稿しています。
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【ライトノベル】吾輩は猫になっちゃった(仮 第7話

<<これまでのお話>>

はじめに


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第6話



<<第7話>>


体から暖かい布団が引きはがされるような感覚がある。

「あー。やっぱり夢だったか。夢で良かった…。」

そろそろ母ちゃんに叱られて、頬っぺたにあのキンキンに冷えた手を当てられるんだなぁ。と思って母ちゃんの言葉を待つが、一向にいつもの威勢の良い声が聞こえてこないし、冷たい手も当てられない。

「え?あれ?」

いつもと違うな。ちょっと拍子抜けしながらも目を開けようとするが、目が開かない!

「え?え?」

一生懸命目を開けようとするが瞼がくっついて全然開かない!

「あれ?ちょっ。おかしいな。」

指で瞼をこじ開けようと手を動かそうとするが、手が思うように動かない。しかもなんだか体がヌルヌルする。

そう思った矢先、体をザラザラした暖かいたわしでゴシゴシ擦られる。全身くまなく。味わったことのない感触で最初は痛いような、くすぐったいような感じだったのだが、だんだんそれが気持ちよくなってくる。

「え?母ちゃん?何やってんの?」

声に出そうとするも、今度はうまくしゃべれない。

 

「生まれてきてくれてありがとう。私の坊や。」

エコーのかかったような、ボワンボワンとした感じで聞き取りづらいのだが、女性の声が聞こえる。

生まれて…?って言った?でも母ちゃんの声じゃないよな。と思っていると

「さぁ、こっちへいらっしゃい。」

と暖かい毛布にズルズルと引き寄せられた。

それは電気毛布のように暖かくて大きくて、そしてフワフワ、モフモフしていた。しかも!動いていた。さらに!鼓動まで聞こえる。

それに引き寄せた手は明らかに人間のものではなかったような…。
 

そうすると、この暖かいたわしみたいのは…。もしかして…舌。ですかね…。

 

少しずつ状況を理解してきていた。

あー。なるほどなるほど。さっきのは夢じゃなかったわけね…。そして僕は人間ではなく、何か他の動物に生まれ変わっちゃった。というわけですか…。

しかし一体何に!

と焦っていると、急激な眠気に襲われて、僕は知らぬ間に眠りに落ちて行った。

 

次に起きたのはどれくらい後だかわからない。

それに起きたと言っても目は一向に開かなかったので、何も見えなかったのだが、とにかくお腹が空いたし、めちゃくちゃ喉が渇いていた。何か飲まないと死んじゃう。と体を動かそうとすると、先ほどの声が聞こえる。

「坊や、起きたの?そろそろ飲めるかしら。おっぱい。」

「な、なんですとー!おっぱい?光一ほどじゃないけど大好物です!」

と声にならない声が出てしまったが、そこでふと我に返る。

「人間のおっぱいなら大好物なんですけどね…。」

しかし喉が渇いて死にそうだし、何の動物だかわからないけどこの際飲むしかないな。と決意した僕は、おっぱいを飲むべく乳首を探すことにしたのだが、その場所は以外とすぐにわかった。

動物に生まれ変わって臭覚が敏感になったからなのか、鼻が「ここですよー。乳首。」と教えてくれたのだ。

 

思うように動かない体をなんとか動かして、甘い香りのする乳首までたどり着いた僕は、イメージしていたよりも大きなそれを口に含み、意を決して一口吸ってみた。

「ん…。んん?何コレ!超うまい!」

暖かくて、ほんのり甘くて、給食の牛乳をもっと濃くしたような味だ。

しかも体中に染みわたってなんだかパワーが湧いてくる気がする。

「おててで交互に胸を揉んでみなさい。」

そう言われ、人間の時より確実に短くなったであろう手で毛布みたいなやわらかい胸を交互に揉んでみると、母乳があふれ出してくる。

僕はもう無我夢中で飲んでいた。

そしてコップ一杯も飲んだだろうか。喉の渇きは癒され、お腹はすぐにいっぱいになった。

「おいしかった?坊や。」

また全身を大きなたわしのような舌で舐められて、電気毛布のようなあったかい懐に抱き寄せられる。

なんだかとっても幸せな気分だ。体温を感じながら鼓動を聞いていると、「生きてる」という実感が湧いてくる。

そう思っていると意に反してまたすぐに眠気がやってくる。

 

何度か母乳を飲む、寝る。飲む、寝る。を繰り返した後、僕のお腹はもうパンパンになっていた。そしてカラオケ屋以来、襲い来る久々の尿意。

「やべ!トイレ行きてぇ…。も、漏れる…。もうダメ…。」

僕の膀胱は限界を突破した。しかし、おしっこは漏れなかった。逆に漏れないことによって、お腹がだんだん痛くなってくる。そのとき

「そろそろおしっこかしらね。」

と声が聞こえたかと思うと、暖かい舌が股間を舐めてくる。すると、それが刺激というか引き金となって僕はおしっこを漏らした。この歳にして失禁。しかしそれはすごく気持ちよかった。

なるほど。今僕は自力でトイレすらできないのか…。

 

僕は一体何に生まれ変わったのか、ここはどこなのか、現状把握に努めたいところだったが、目は開かないし、声は出るもののうまくしゃべれない。耳もまだボワンボワンしていて正確には聞き取れない。トイレも自力でできない。

馬や牛や鹿ならば生まれてしばらくするとブルブル振るえながら立ち上がって歩いたりするのはテレビで見たことはあるけれど、状況的にどうやらそのたぐいではなさそうだ。色々想像してみたが、今考えたところで結論が変わるわけではなさそうだし、僕は考えるのを一旦放棄して、とにかく生きること、早く大きくなることに集中しようと決めた。

 

飲む、失禁する、寝る。飲む、失禁する、寝る。をさらに何度も何度も繰り返した。最初のうちは数えていたのだけれど、そりゃあもう数え切れなくなるくらいにとにかく繰り返した。

そして何日か経っただろうか。僕の目がついに開いた。




次話⇒<第8話



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【ライトノベル】吾輩は猫になっちゃった(仮 第6話

<<これまでのお話>>

はじめに


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<<第6話>>


うん。なるほど、まぁこんな凄いトリックが使えるなんて「マジック界の神」と呼ばれても過言ではないよな。などと思っていると

「ちがうよ、マジック界の神とかじゃなくって、本物の神様だよ!猫の姿してるけど!こういう神様もいるの!わかる?」

「は、はぁ。」

僕が今、心で思ったことを見通したので、唖然とした。

確かに、このデカい猫はどう見ても作り物に見えない。

 

でも、猫が神様?神様と言えば、禿げてて髭が長くて白い服着てて杖をついた仙人みたいな感じだよな。とぼんやり考えていると

「お前さ、今、禿げてて髭が長くて白い服着てて杖持ってる仙人みたいのイメージしただろ!神様ってああいうのもいるけどそれだけじゃないから!」

思ったことをズバズバ言い当てられる。

「白い動物ってね、神様の場合が多いんだよ。お前知らないかもしれないけど。白い蛇とかね、白いキツネとかね、白い象とかね、あれだいたい神様だから。」

「そうなんすか…。」

もう、この際なので、神様と認めて説明を聞くことにした。

「でさ、私が神様ね。で、あそこにいるのはお前の亡くなったおじいさんとおばあさんとお父さんだよ。」

「ええええええええええええ!」

びっくりして振り返って3人を見る。やはり本物だったか。超似てるわけだ。

「お前のことを迎えに来てるの!」
「なんですとー!」 

うーん。なるほどなるほど。飲み込めて来たぞ。どうやらこれは最悪の状況だ。ヤバいぞ、創ちゃん大ピーンチ!


しかしそんな僕の焦りを無視して猫神様は質問してきた。

「ということは?あの川は?一体何でしょう!」

こんな状況でそんなことをクイズに出すか!デリカシーのない神様だなぁ。と思いつつも、僕は勇気を振り絞ってクイズに答えた。

「ピンポーン!」

「はい、青山創太さん。答えは?」

「多摩川!」

「んなわけあるかーい!」

でっかい肉球で頭を叩かれた。猫神様のツッコミ猫パンチは相当痛い。

「イテテテテ。…三途の川。ってわけですね?」

「そうだ。あれが三途の川だ。」

そうか。今まで全く記憶が無かったのだが、だんだん思い出してきた。

僕は淳平と光一とヤマジョ3人とカラオケに行って、優希ちゃんにLINEIDをもらって、母ちゃんが心配になって急いで帰ろうとして、自転車でコケて、そしてトラックに轢かれたんだ…。
 

「はい。ということで青山創太の人生はこれにて終了!とっとと渡れ。」

「ええええええ!嫌ですよ!僕は水もボートも怖いし、そもそも死にたくないんで。

だって母ちゃんが心配だし、彼女だってできそうだし、やりたいことがいっぱいあるし。それに僕まだ16歳ですよ?もっと生きたいですよ!」


しかし同時に他のことも思い出していた。確か、テレビのオカルト番組で見た臨死体験がテーマの特集だった。生死の境をさまよった人たちが見た光景。川の向こうで死んだ親しい人たちが手を振ったり手招きしていて、川を渡るのを拒否したり、来た道を戻って行ったら、蘇生した。という内容だ。

 

「つかぬことをお伺いしますが、神様。そういえば三途の川を渡らずに、ここから戻って生還する人っていますよね…。」

猫神様がギクッ!とした顔を一瞬した。しめた!

「フフフ。どうやら図星のようですね…。なら僕、やっぱ戻りますね。」

と言って立ち上がると

「待て!んー。バレたらしょうがない。けどね、お前今このまま戻っても体ぐちゃぐちゃだし、あの体だと全然魂磨けないからね。」

「え?ぐちゃぐちゃ?え?マジっすか!え?で、何ですか?魂磨く?」

「そうだ。まぁ、しょうがないからお前にチャンスをやろう。その前に大事な話するから座れ。」

「はい!」
 

ぐちゃぐちゃというのが正直ショックでテンパったが、なんとかなるかも。と思いつつ座りなおす。

「お前さぁ、目上の人がチャンスをやる、大事な話をするって言ってんのに、あぐらかく馬鹿がどこにいるんだよー!」

「あ、すいません!」

僕は正座して聞くことにした。


「じゃあな、まず。生き物はなぜ生まれてくるのかわかるか?」

「そりゃぁ、あの…。あれですよ。セッ…。」

「ちがーう!」

またでっかい肉球で頭をはたかれた。今度は身構える前にかぶせ気味にツッコミを入れられたので、首にきた。

「そういう意味じゃなくて!生まれてくる理由!なぜ命を授かるのか?っていうこと!」

首を左右に動かして、頸椎を直しながら、この神様クイズ好きだなー。と思っているとまた見透かされる。

「クイズが好きとかじゃなくって、お前に考えてもらいたいの!」

「はぁ。そうですね。なんで命を授かるのか。かぁ…。種の保存とか?」

「うむ。そういう一面もある。でもそれは本質じゃない。って、もういいや、お前馬鹿だから正解言っちゃうよ?いい?」

猫神様が正直面倒くさくなってきてるのがわかったが、ここは試験に出そうなので真面目に聞こう。

 

「はい。お願いします。」

「命ってのはな、魂を磨くために授かるんだよ。」

「魂を磨くために…。」

「魂と肉体は別のものだ。肉体は魂を入れる器のようなもの。魂が肉体に宿る時。それが命のはじまり。誕生だ。そして魂が肉体から抜け出るとき。それが命の終わり。つまり死だ。今、お前の肉体からは魂が抜けている。まぁほとんど死んでる状況だな。」

「は、はい…。」

「でもな、肉体は死んでも、命が終わっても、魂は永遠に生き続ける。そしてあるときその魂がまた新たな肉体に宿るんだ。」

「なるほど、輪廻転生ってやつですね?聞いたことあります。」

「生き物にはな、それぞれ使命があって、その使命を全うしたり、与えられた試練を乗り超えたり、善い行いをしたりすると魂が磨かれていくんだ。そしてその魂をもっと磨くために順番が来ると新しい使命を与えられ、新しい肉体に宿る。魂にはステージがあって、磨かれれば磨かれるほど、高いランクの魂となってゆく。そこでより困難な使命を与えられたりするんだな。つまり、生きるということは魂を磨く修行ということだ。」

「なるほど…。ちなみに僕の魂はあんまり磨かれてない。ですよね。」


今までの人生16年を振り返ってみると、人の役に立ったことも無いし、試練という試練などほとんどなかった。しかも僕に使命?なんてあったのか…。

「だな。お前は今のところこの人生で全くと言って良いほど魂を磨いていない!」

「ですよねー。」

「まぁ、色々な経験をしたり、楽しんだり、苦しんだり、悲しい思いをしたりしても多少は磨かれるんだけどもな。それにしてもお前は全然ダメだ。ゲームばっかりやってるしな。平均点以下。って言うか、もはや赤点だよ。そこで、だ。お前にこれからある肉体と試練を授ける。猶予は1年間。お前はそこで魂を磨きまくれ。結果次第では、上に話を通してやる。」

「え?神様より上の方がいらっしゃるんですか?」

「まぁ神様ってのもいろいろいるし、力の度合いとか能力とかも違うからな。」

「へぇ。」

「それじゃ、行ってこい!」

「え、あ、あのちょっと質問が…」

「ドーン!」

質問しようとしたが、質問を遮るように猫神様は僕の頭にタッチした。

それ以上しゃべっても声が出なかった。体がどんどん消えて行く…。そして視界が真っ白になった。



次話⇒<第7話>



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【ライトノベル】吾輩は猫になっちゃった(仮 第5話

<<これまでのお話>>

はじめに


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<<第5話>>



気が付くと霧の中にいた。

四方八方が真っ白な世界。

「え?どこ、ここ。俺何してんの?」

全く思い出せない。

とりあえずGoogle Mapで現在地を調べてみよう。
そう考えた僕は、スマホを取り出そうとお尻のポケットを探るがスマホがない。胸のポケットにもない。どこにもない!

「えー!マジかー!どこで落としたんだろ。やべーな。これじゃ電話もできないじゃん。しかもこの前機種変したばっかなのに、また母ちゃんに怒られるわ。」
ここがどこだかわからないことにはどうにもならない。とにかくこの霧の中からなんとか抜け出さねば。 

仕方なく、何かにぶつからないように両手を前に出して、手探りの状態で歩きはじめると、少しずつ霧が薄れ、ぼんやりと視界が開けてきた。

 

森だ。シーンと静まり返った薄暗い森の中の小道に僕はいた。虫の鳴く音や鳥のさえずりさえも聞こえない。全くの無音と言うのはとても気味が悪かった。早くここから出たい。
小道を早歩きで歩いていくと、その先にはうっすらと光が差しているのが見えた。あの先に何かあるかもしれない。光が差す方へ向かって僕は走りはじめた。だんだんと明るくなってきて、川のせせらぎが聞こえはじめる。そして暗い森をようやく抜けた。

 

すると、そこは一面に花の咲き乱れるお花畑のようなきれいな河原で、その先に幅が20メートルくらいの川が流れていた。
そして対岸には3人の人影が見えた。

あの人たちにここがどこなのか、どうやって帰れば良いのかとりあえず聞いてみよう。

「すいませーん!おーい!」

と手を振りながら走って近づいていくと、だんだんと顔が見えてきて僕は驚いた。

「あれ?じいちゃん、ばあちゃん、それに親父?んなわけないよな。」

そこには死んだじいちゃんとばあちゃんと親父に超そっくりな人たちがいた。
 

「あのー!すいませーん!ここはどこですかー!東京にはどうやって帰ればいいんでしょうかー!」

と僕は大声で尋ねた。 

みんなニコニコしながらこっちにこいと手招きをしている。何やらしゃべっているようだけれど、川の音以外は何も聞こえない。

「すいませーん!聞こえないんですけどー!」
川を渡るにも、僕は全く泳げない。カナヅチっていうやつだ。泳いで行くわけにもいかない。
「どうやってそっちに行けばいいんですかー!」

と尋ねると親父のそっくりさんが何かを言いながら右手の方向を指さしている。指差した先には手漕ぎボートが一艘係留してあった。なるほど、どうやらあれに乗ってこっちへ渡って来いということらしい。

しかし僕は手漕ぎボートにものすごいトラウマがあった。

 

それは忘れもしない小学校1年生の夏休みだった。

家族で富士山の近くのキャンプ場に旅行に行ったとき、湖でボートに乗って魚釣りをしようということになって、僕たちは手漕ぎボートに乗って魚釣りを楽しんでいた。

そしてあるとき僕の竿にとても大きな魚がかかった。

「お父さん、大きいよ!大きいよ!」

引きが強く、竿が持っていかれそうになるし、リールも固くて巻けない。

「おぉ!こりゃデカいぞ創太!今手伝うからな!」

親父が僕の背中にまわり、後ろから僕の両手を包むように竿を支え、一緒にリールを巻いてくれた。

魚影がだんだんと近づいてくる。

「母さん!タモくれ!タモ!」※タモ=魚釣り用の柄の付いた網

「いいか創太、このまま踏ん張ってろ!」

母ちゃんに手渡されたタモを持って、親父がボートから身を乗り出して水面でバシャバシャと抵抗してもがく大物をすくい上げようとしたその時だった。

3人とも魚に注目してボートの片側に寄ってしまったものだから、バランスを崩して僕らは湖に放り出された。

 

全員ボート屋さんから借りた救命胴衣を身に着けていたものの、僕にはそれが大きすぎたからなのか、泳げない僕が慌ててもがいたからなのか、僕は救命胴衣からすり抜けるように湖に沈んでいった。

幸い、子供の頃に「沼津の河童」というあだ名で呼ばれていたらしい、泳ぎが得意な親父がなんとか助け上げてくれたので事なきを得たのだが、あのときの苦しさや大量に飲んだ水の匂いや味、暗い水中から見た湖面のきらめきなどは今でもたまにフラッシュバックすることがある。

それ以降、僕は水が怖くてまったく泳げないし、手漕ぎボートにも乗れないのだ。

 

うーん。マジか…。手漕ぎボートには死んでも乗りたくないな。かと言って見た限り近くに橋はなさそうだし。

どうしよう。とその場に座り込み一旦考えた。

そして解決策を思いついた。「あーそっか。俺バカだなぁ。そもそも、来た方向に戻れば帰れるんじゃね?」と。
あの薄気味悪い森に戻るのは少し気が引けたが、ボートに乗るよりは全然マシだし。

そうと決まれば話は早い。

「あのー、すいませーんでしたー!やっぱ向こう行ってみまーす!ご親切にありがとうございまーす!」

とそっくりさんたちに手を振って会釈をし、別れを告げると、僕は今来た道を引き返すことにした。


そして河原から森に戻ろうとしたとき、森の方から白い猫が一匹現れて、森の入り口を塞ぐようにこちらを見て座った。この猫、どこかで見たような気がするな。と思っているとどこからか穏やかな声が聞こえた。
 

「引き返すことはできない。川を渡りなさい。」


一瞬立ち止まる。今誰かが何か言ったような気がする。しかし見回しても誰もいない。気のせいかな?と思い、森の方へ更に数歩歩くとまた声が聞こえた。


「引き返すことはできない。川を渡りなさい。」


気のせいじゃない。確実に声がした。後ろを振り向くと3人が未だにニコニコしながら手招きしているが、あの人たちの声は全然聞こえなかったし。しかしそれ以外に誰もこの辺にはいないようだが。

「え?誰?何?どこにいるんですか?」

声の主がわからず戸惑っていると

「いいからさー。お前早く渡れよー。川。」

と声がまた聞こえる。少しイライラした口調になっている。

「え?誰?何?どこ?え?え?」

と周りをキョロキョロと見回してもやはり誰もいない。猫はいるが、猫がしゃべるわけないし。

木の陰に誰か隠れてるんだな。と思い、森の中に入ろうとすると、今度はもう若干キレた口調で声が聞こえる。

「だからー!引き返せないからー。早く川渡れって言ってんの!」

「え?こわっ!え?マジ?何?え?」

とパニくっていると

「あー。もう。お前バカだなー。何でわかんないのかねぇ。もう埒が開かないわ。しょうがないなぁ。えい!」

という声がしたと思った瞬間、声の主の対象として完全にスルーしていた白い猫が僕と同じくらいの大きさまで一瞬で巨大化した。

「ええええええええええええ!!」

僕はびっくりして尻餅をついた。この猫がしゃべっていたのか!

「え?何コレ!マジック?え?中に人入ってるの?スゲー!セロよりスゲー!」

と驚嘆していると猫が言った。

「お前ホント馬鹿だから説明しちゃうわもう。私は神だ。」



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【ライトノベル】吾輩は猫になっちゃった(仮 第4話

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<<第4話>>


「行っちゃったね。」

と光一がしみじみ言うと、

「よーし、もろども。反省会じゃぁー!」

と気を取り直すように、織田信長こと淳平が僕らの肩をバン!と叩き、踵を返した。

淳平に従い、本日2度目のマックで反省会をすることになった。

雪はだんだんと強くなっているように感じたが、浮かれた僕らにとって、それはもはやどうでも良くなっていた。


カウンターでそれぞれ飲み物やポテトやナゲットを買って先ほどの2階の席へ。

「さて、これより反省会を行う。」

腕組みした淳平が信長本人を知りもしないのに信長らしいモノマネをしながら言った。

「では、光秀よ。お前の戦果やいかに。」

すると光一はそれに乗っかって、明智光秀らしいモノマネをしながら

「お館様。わたくしの戦果はこちらでございます。」

と言って小さなメモ書きをポケットから取り出し、両手で差し出した。

「おおおおおお!」

思わず淳平も僕も少し興奮して立ち上がり大きな声を出してしまった。

「ば、バカ。お前ら座れよ!」

そのメモ書きには成美ちゃんの電話番号と「LINEしてね」とハートのマークが。

「さすがよのお。光秀。よし勲功を授ける。」

と言って淳平がポテトを一本取り上げ光一の口の前に差し出す。

光一は

「ありがたき幸せ。」

と言ってポテトを咥えた。
 

「では猿よ。お前の戦果やいかに。」
僕は豊臣秀吉がどういう感じなのかさっぱりわからなかったのだが、猿っぽいイメージに似せようと鼻声の甲高い声に声色を変えて答えた。

「お館様。わ、わたくしめは…」

と言葉を濁し、うつむいて間を取ると、二人は沈黙した。

そこですかさずポケットからメモ書きをサッと取り出した。

「じゃーん!こちらでございます!」

「おおおおおおお!」

やはり二人は立ち上がって大きな声を出す。
「よくやった猿よ。お前にも勲功を授ける。」
と言って僕もポテトを一本授かった。
 
ポテトを咀嚼し終えると 

「して、お館様は。」

と今度は僕が淳平に聞くと、淳平は一旦間を置いてから目を閉じ、静かに言った。

「来月、テーデーエルに行くことが決定した。」

「テーデーエル?」

僕と光一は何のことだか一瞬わからなかったが、すぐに理解した。

「まさか」

「東京ディズニーランド!?」

光一とハモってしまった。

「そうじゃ。テーデーエルじゃ。」

うんうん。と頷く淳平に僕らは

「さすがでございます!お館様!」

「単騎、城を落としに参られるか!」

などと称賛した。

「やったな!」

「最強のトリオだぜ!」

「ありがとう!淳平!お前は神か!」

と3人でハイタッチをした。

「良いか猿よ、光秀よ。鉄は熱いうちに打て。今より矢文を飛ばすのじゃ!」
との淳平の指令で
僕たちは早速、それぞれスマホに女の子の連絡先を登録してお礼のLINEを入れようとスマホを取り出した。

 

そうだ、電源落としてたんだったな…。とスマホの電源を入れると、不在着信の履歴がいっぱい入っていた。
母ちゃんから立て続けに13件も。
「え?」
普段、何か用事があってもそれほど電話をしてくる母ちゃんではないし、いつもなら用件をメールしてくるので、何かあったに違いない。

胸騒ぎがしてとにかくすぐに母ちゃんに電話をしてみたが何度かけてもつながらない。

「どうした創太。」

「電話は早いだろお前!」

と淳平と光一が言うが、ちょっと待ってくれと手で制す。

「ごめん!ちょっと大事な用があるから先帰るわ!明日な!」

と言ってメモ書きをポケットにしまい、僕の慌てぶりにポカンとする二人と飲みかけのコーラを置いたままマックを出た。

 

外に出たときには雪は大粒のボタン雪になっていた。

植え込みや道路の一部にはすでに雪が積もり始めている。

僕はその中を少し離れた雑居ビルの裏に停めた自転車まで小走りに走った。

自転車のサドルもハンドルも雪が積もり、とても冷たかったが、そんなことを気にしてはいられなかった。


先ほどの浮かれた気分は完全にどこかに行ってしまっていた。

「母ちゃんどうした?電話出ろよ…。」

スマホをすでにかじかんだ親指で操作しながら片手で自転車を漕ぐ。

やはり出ない。

スマホの画面に雪が落ちては水滴となり、画面が歪む。
もう一度かけようと発信ボタンを押すが、画面が濡れてうまく操作できない。ようやく発信ボタンを押し、スマホを耳に当てながら大通りの交差点を渡ろうと前を見たその時だった。

しばらくスマホの画面を見ていたので、信号が赤に変わっていたのに気づくのが遅れていた。

停車していた車が一斉に流れ出す。

危ね!と右手でブレーキを握ると、濡れたマンホールでタイヤがすべり、自転車が傾いていく。僕の視界もスローモーションを見るかのようにだんだんと傾いていき、縦から真横になっていった。
スピードも出ていて雪交じりの路面で転倒した僕は倒れたまま自転車とともに車道へと滑っていく。勢いは止まらない。

ヤバい!と思った瞬間、向こうからものすごいスピードでクラクションを鳴らしながら大型トラックが迫ってくるのが目に入った。



次話⇒<第5話



※本作品は小説投稿サイト「小説家になろう」に同時投稿しています。
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